学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、美術系大学院に通う20代の学生から、作曲やピアノを独学したいという相談。ひとりで音楽を学ぶことは可能なのか。独学するなら知っておきたいポイントを教えてくれた。

* * *

Q. 大学院での専攻とは別で、作曲やピアノを独学でやってみたいと思っています。音楽を独学することについて、廣津留さんの考えを教えてください。

A. 音楽を独学すること自体は全然問題ないと思います。ただ、最初の3カ月くらい、いや1カ月でもいいので、誰かに教えてもらうと習得が断然早い気がしますね。1カ月でも習ってみると、習い続けるべきかどうかの判断もできますし。

 これは音楽に限らず言えることかもしれませんが、独学でゼロから学ぶ場合、自分の頭だけで理解しようとすると、いろんな疑問が湧いてきて腑に落ちるまでに何時間もかかってしまうんですよね。でも、実はその道のプロや既に学んでいる人に聞けば、すぐに解決できることも多い。音楽教室に通わなくても、作曲やピアノを学んでいる友だちや先輩など、わからないところを聞ける人がいればいいと思います。

 私も以前、ゲーム音楽の制作をした際に、ソフトウェアの使い方がわからなくて煮詰まってしまったことがあったんです。でも、エンジニアの友だちに聞いたら0.5秒で(!)答えが返ってきて解決しました。「僕にとっては大したことじゃないから、いつでも気軽に聞いてよ」と言ってくれて、本当に助かったことをおぼえています。何かを学ぶときに、アドバイスをもらえる人がいるかいないかでは全然違う。詳しい人に聞けばすぐにわかることを、何時間も悩んで自力で理解しようとするのはちょっと時間がもったいないと思ってしまいます。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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