「高額選手を多数抱えるエンゼルスにとってプレーオフ進出は必須。無理だと判断すればビジネスに特化した動きに出る可能性もある。大谷をトレードで放出すれば、予算削減ができて若手有望選手の獲得もできる。トラウトを軸に新たにチームを再構築して来季以降を目指すこともできる」(スポーツマーケティング関連会社関係者)

 とはいえ、「大谷はエンゼルスに残留する」という見方も決して少なくない。そこでカギを握ると思われるのもトラウトだ。大谷が入団した2018年以降、ともに世界一を目指す盟友として誰よりも大谷を気にかけてきた。近年はトレードやFAでの移籍が幾度となく取り沙汰されている大谷を「できることは全てやる」とチームに残留するように“説得”すると名乗り出ている。

「トラウトは自尊心が強い部分もあり、大谷の二刀流に当初は懐疑的だった。しかし生活全てを捧げて野球に取り組み、結果を残す大谷の姿に感銘を受けた。今ではリスペクトしかなく、ともに勝ちたいと思っている」(西海岸在住スポーツライター)

 トラウトは大谷同様、誰よりも勝つことを渇望しているが、プレーオフ出場は2014年の1回のみ。シーズンMVP3度を誇るスーパースターとしては寂しい限りだ。しかし、本人は昨シーズン後半に「移籍する意思はなし」と語っている。勝てるチームへの移籍ではなく、長期契約を結んだエンゼルスで世界一を目指す決意だ。大谷残留を望んでいるのも、エンゼルスで勝ちたいという気持ちからなのは間違いないだろう。

 そういった熱意を間近で見てきた大谷が、今後もトラウトと一緒に世界一を目指したいと思っても不思議ではない。

「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝戦前の演説、『憧れるのをやめましょう』は、自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。米国代表主将・トラウトの存在は、大谷にとって大きいことがわかった一幕だった。ともに世界一を目指せる環境を大事に思っているのではないか」(西海岸在住スポーツライター)

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お金以外の要素も重視?