今年も灼熱の夏になりそうだ。写真はイメージ(GettyImages)
今年も灼熱の夏になりそうだ。写真はイメージ(GettyImages)
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 沖縄・奄美地方以外は梅雨明け前だというのに、全国的に最高気温30度以上の真夏日を観測する地点が続出している。東京都心でも6月16日の30.7度を皮切りに3日間真夏日が続き、29日には33.8度を記録した。7月に入っても4日に京都で36.3度、7日に新潟で37.0度の猛暑日となるなど、暑さが続いている。今年は熱帯の東太平洋の海面水温が例年よりも高くなるエルニーニョ現象が4年ぶりに発生。エルニーニョの年は冷夏になる傾向があるが、一転して、今年は猛暑になる予想だ。強い台風も多く発生する可能性が高いという。それはなぜなのか。海洋研究開発機構環境変動予測研究センターの那須野智江(なすの・ともえ)主任研究員に聞いた。

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 6日、気象庁はこの先の1か月予報を発表した。特に前半の暑さが厳しく、7月12日ごろからは、10年に一度レベルの高温予想が出ている。

 今年はエルニーニョ現象が4年ぶりに発生し「冷夏」となる傾向があるはずだが、正反対の「猛暑」となりそうだ。

 海洋研究開発機構はスーパーコンピューター「地球シミュレータ」と、予測シミュレーションモデル「SINTEX(シンテックス)-F」を使用してエルニーニョ現象の発生を高い精度で予測してきた。

 エルニーニョ現象は台風の発生と発達に大きく影響する。

「台風は赤道付近の熱帯の海上で発生します。エルニーニョの年は例年よりも海面水温の高い、東寄りの場所で大気の対流が活発になり、台風が発生しやすくなります。発生した台風は、太平洋高気圧の縁を回り込むかたちで水温の高い赤道付近の海上を西へ西へと移動します。その間に勢力を増すので、強い台風に発達する割合が増える傾向があります」と、那須野氏は説明する。

■二つの現象が同時発生

 さらに今年は、エルニーニョ現象だけでなく、「正のインド洋ダイポールモード現象」が発生すると、海洋研究開発機構は予測する。

 正のインド洋ダイポールモード現象とは、熱帯のインド洋西部で海面水温が平年より高く、東部は低くなる現象である。

「エルニーニョ現象が発生した年は、冷夏になるというパターンが多かったのですが、今年の夏の気温はエルニーニョ現象よりも、正のインド洋ダイポールモード現象の影響を強く受けそうです。すると、台風の数が増える傾向があります。つまり、今年は台風全体の数が増え、強い台風が占める割合も増えると予想されます」

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