日々生活していれば、誰しもイライラしたり、人に当たってしまったりすることはあるだろう。早稲田大学スポーツ科学学術院教授で精神科医の西多昌規さんは、「人に優しくできないのは、自分自身に対しても優しくできない状況の時に起こる」と話す。考え方だけでなく、生活習慣を見直すことで改善するケースもあるそうだ。西多さん監修の『やめてもいいこと86 心の疲れをとる事典』(朝日新聞出版)から、イライラしたりマウントを取ったりしがちな人の心理を解説し、改善策を紹介したい。
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「最近ささいなことにもイライラしてしまう」「つい人にあたってしまう」など、自分の感情がコントロールできなくなっているのであれば、一度自分の状況を客観的に見たほうがいいでしょう。
そもそもイライラの感情は、状況や物事が自分の思い通りにいかないときに生じます。真面目で向上心のあるタイプほど、陥りやすいと言われており、心に余裕がないなど、「自分自身に対しても優しくできない」ときに起こりやすいです。
そんなときは、イライラの原因をとり除くのではなく、自分に優しくできない原因を明らかにしてストレスを減らすことが、根本的な解決法かもしれません。
まずは、基本的な「生活習慣の見直し」をしましょう。日々の睡眠や食事、休養はきちんととれていますか? イライラは睡眠が不足しているときも起こります。生活リズムを整えることも大切なのです。
生活の見直しができたら、次に「仕事や家族以外の人」とコミュニケーションをとってみましょう。日常の狭い人間関係がイライラの元になっている場合もあります。リアルに会うのが難しくても、電話やビデオ通話で声を聞くだけでも気分転換になるはずです。
■「ついマウントをとってしまう」のは自分の不安を解消したいから
相手よりも優位に立ち、自分が上の立場であることを誇示しようとする「マウント」「マウンティング」という言葉は、ここ数年で一気に広まりましたが、内容は仕事や年収、学歴、容姿、子どもの成績など、なんでもアリになっているようです。