買い物客や観光客などでにぎわう銀座=6月21日、東京
買い物客や観光客などでにぎわう銀座=6月21日、東京

 新型コロナの感染者数も落ち着き、マスクをしない人々の姿も定着してきた。繁華街では人が増え、日常生活が戻ってきたように感じるが、沖縄では新型コロナの感染者が再び急増している。専門家からは「もう医療崩壊する」という声があがってきた。なぜ再び医療崩壊の危機に瀕しているのか。再び自粛生活に戻る必要があるのか。

【図表】新型コロナと季節性インフルエンザの比較はこちら

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「やっと日常が戻ってきたなという感じですね」

 東京・銀座で友人とお茶をしていたという60代の女性は、こう話す。

 手洗い、うがいはしっかりとやっているが、マスクは高齢の母親と会うときや人ごみが気になるとき以外はつけていない。友人と直接会う機会も増えてきたという。

「新宿や渋谷も人が戻ってきていますね。このままインフルエンザと同じ扱いになっていくのかなと思っています」

 一時期は閑散としていた銀座には買い物客や観光客が戻り、多くの人でにぎわっている。

「コロナに対する不安はもうない。周りで感染しているという話も聞かない」「もとの生活が戻ってきて良かった」という声が聞かれ、新型コロナへの不安感はだいぶやわらいでいる様子だった。

 5月に新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、コロナ前と同じような生活が徐々に戻りつつある。しかし、医療現場では再び危機的な状況が迫りつつある。

■迫る医療崩壊

「夏まで持ちこたえられるかと思ったが、まもなく限界が来そう。そろそろ医療崩壊します」

 こう危機感を募らせているのは、厚生労働省参与で、沖縄県立中部病院の感染症内科副部長を務める高山義浩医師だ。医療崩壊とは、本来受けられる医療が受けられなくなる状況を指す。

 沖縄県内では再び新型コロナが猛威を振るっている。

 県が公表しているデータによると、定点当たりの患者報告数は28.74人(6月12~18日)で、前週の18.41人、前々週の15.80人から右肩上がりに増えている。全国平均は5.60人(同)で、他の都道府県と比べても沖縄県の感染者数は突出している。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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なぜ医療ひっ迫するのか