入院患者数も増加しており、6月18日時点で重症者9人を含む507人。病床使用率は57.8%に達している。高山医師によると、過去の経験に基づき入院患者数300~500人で「医療ひっ迫」となり、それを超えると「医療崩壊」になるという。

 県によると、20日時点で県内27の重点医療機関のうち、3医療機関が一般診療を制限しており、7医療機関が救急診療を制限している状況だ。

 高山医師はこう語る。

「沖縄本島中南部の医療現場は、ほぼ災害状態。地域の医療機関で連携して、何とか救急車を受け入れは維持しているが、入院するためのベッドがなくなってきている。これからは必要な入院ができなくなり、手術も緊急性の高いものだけに絞られていく状況になりつつあります」

■5類移行の影響

 沖縄県の医療態勢はどうなっているのか。5類に移行後、県では軽症者の入院対応をクリニックなどの幅広い医療機関に呼び掛けていくとともに、中等症以上の患者のための病床数を最大368から480まで増加させた。
にもかかわらず、なぜひっ迫しているのか。県の担当者はこう語る。

「5類になり社会活動が活発になったことで、骨折や交通事故などコロナ以外の入院も増えている。一般患者用の病床とコロナ患者用の病床を、どうバランスを取って確保するのか、現場では苦労していると聞いています。

 また、2類相当のときは県がコロナ患者の体調を管理し、入院調整も行っていましたが、5類移行後にそれがなくなり、患者が自分で救急に行くような状況になっている。調整ができなくなった結果、一部の医療機関に負担がかかっている状況もあります」

 また、高山医師はこんな課題も指摘する。

「高齢者では症状が軽い人でも、周りで見守る人がいないということで入院し、快復後も周囲への感染性が考えられる10日間は、入院し続けるという『見守り入院』が多い。その間に心身の機能が低下してしまう患者も一定数おり、リハビリのできる病院への転院調整でさらに入院が続くこともあります。こうした患者がスムーズに退院、転院し、救急医療の必要な人に医療が提供できる態勢を行政は早急につくる必要がある」

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