1冊1冊に心を込めて、丁寧にサインをしていく(写真・上田泰世/朝日新聞出版写真映像部)
1冊1冊に心を込めて、丁寧にサインをしていく(写真・上田泰世/朝日新聞出版写真映像部)

■他の言葉で言い換えられない舞台

 アマチュアとかプロとか関係なく、サッカーをしていた人にとっては目指すところがワールドカップだ。そして、日本代表に入らないとワールドカップという舞台には行けない。そこを問われると「ワールドカップという舞台は、何にも変えられない。他の言葉でも言い換えられない舞台や場所だ」と話した。浅野は常に、日本代表として選ばれるために今、何が必要なのかということを考えて行動しており、「ワールドカップは人生そのもの」とも話す。

 この本には浅野の人生の4年半が描かれている。それは決して正解ばかりではない、しかし不正解でもない。それは道であって、誰にでも当てはまるものだ。今シーズンは特別なシーズンだったが、全く満足の行くシーズンではなかった。怪我もあり、離脱していた期間もある。

 その中でも自分がチームの中心として上げていっているという自覚がある。ドイツでもやれるんだという自信を、この1年で手応えとして感じてもいる。だが、「数字という結果ではチームを全然助けられていない」とも話す。

■あのゴールは“奇跡じゃない”

『奇跡のゴールへの1638日』という本のタイトルについては、いろんな角度から見て考えて、多くの人と相談した。

 「本を手に取ってもらう皆さんがこのタイトルを見て、何を思い描いて何を感じるかというのが1番大事かなと思いました。あえて“奇跡”という言葉を使いましたが、僕自身はタイトルとは裏腹にあのゴールは“奇跡じゃない”と思っています。奇跡を起こすために何が必要なのか、どうして奇跡のゴールを生むことができたのかを、読んで確かめてもらえたら嬉しいです」

 試合に出られないことが続いた時期がある。しかし出られないことがわかりながらも、トレーニングをしていた。何のためにトレーニングしているのかわからない時もあった。人生において挫折を感じてもいた。しかしちょっとでもサボったら、ワールドカップ行けないと心の底から思っていた。

 だからこそ練習が終わった後にトレーニングをしたり、家に帰って食事をした後にも走りに行ったりを毎日続けていた。過去の自分に驚かされることがたくさんあるがその時の自分を思い返して「よくあの時の俺はあれだけやっていたな」と話す。何に向かって頑張ればいいのかわからない状況でも、ワールドカップという目標をしっかり持って1日1日を過ごしていた。

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