田中教授は、サクセスフルエイジングを発展させて「健幸華齢(けんこうかれい)」という言葉を提唱しています。

「健幸華齢とは、身体が健康であるだけでなく、精神面においても生き生きとして『幸せな気持ちで華やかに齢を重ねる』ことを表します。高齢者の一人ひとりが、食べられる喜び、仲間とともに運動・スポーツを楽しめる喜びに溢れ、日々の生活を満喫しながら、積極的に健幸華齢に取り組み、アクティブに生きてほしいと思います」(田中教授)

 では、健幸華齢を達成するためには、どんなことをしたら良いのでしょうか?

■高齢期の「余生の質」を保持しよう

 お勧めしたいのは、スマートに(賢く、知的に)生きる・老いる、「スマートライフ」の実践です。スマートライフには複数の要素がありますが、それらを通じて高齢期の「ELQ(End of Life Quality: 余生の質)」を保持することができます。

 まず初めは、「スマートエクササイズ」です。これは各自が日々の楽しみ・習慣として主体的に取り組んでほしい、一連の「運動」です。食事の献立を主食+主菜+副菜(1)+副菜(2)で組み立てるのと同様に、週当たりのエクササイズも自分の目的、好み、体調、ライフスタイルなどに合わせて、以下の「コーディネーション系」「レジスタンス系」「ストレッチ系」「有酸素系」の四つのカテゴリーのエクササイズから種類と量をバランス良く選んで組み合わせていきましょう。

【4つのスマートエクササイズ】

<1>コーディネーション系:これは動きの巧みさ、バランス感覚などを保持・向上させる運動です。回数に制限はありません。ヨガや太極拳、ラジオ体操、ダンス、卓球などがお勧めです。日常生活では、料理や楽器演奏、囲碁・将棋などが含まれます。

<2>レジスタンス系:筋肉、筋持久力の保持・強化につながる運動です。少しきついと感じる程度の強度で、1セット8~12回を2~4セット、週2~3日程度おこないましょう。スクワットなどの自体重をかけた筋肉トレーニングやダンベル体操、マシントレーニング、ボールエクササイズなどが良いでしょう。日常生活でも、布団干しや階段昇降、イスの立ち座りなどをおこなうと良いですね。

<3>ストレッチ系:柔軟性や関節可動域を保持・向上させる運動です。「心地良い張り」を感じる程度の強度で、反動をつけずにゆっくりとおこないましょう。筋群あたり1回15~60秒、全身で10分程度、毎日おこないます。ストレッチ運動、深呼吸、マッサージなどがこれに含まれます。日常動作では、身体拭きや靴下履きなどの動作が相当します。

<4>有酸素系:これは全身持久力を保持・向上させることができる運動です。ウォーキング、ジョギング、エアロビクス、自転車こぎなどがあります。「ややきつい」と感じる程度の強度で、1回10分以上、1日合計30分以上、週5日以上行うと良いでしょう。日常生活では、散歩や買い物、旅行など、歩く動作の運動です。

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