
世界文化遺産で、世界最大級の墳墓である大阪府堺市の大山(だいせん)古墳(伝仁徳天皇陵)を、気球に乗って上空からながめる事業計画が、運航開始直前に延期になった。気球に充填したヘリウムガスが抜けてしまったためなのだが、運航開始のめどはたっていないという。実はこの計画、構想されてから何度も延期を繰り返してきた。果たして気球は浮上するのか?
大山古墳といえば最大長840m、最大幅654m、墳丘の長さも486mで、日本最大の古墳だ。ただし、大きすぎて、近くに行っても堀と森のようにしか見えず、鍵穴のような形の全景を見るためには高いところから見る必要があった。
このため堺市が打ち出したのが、「おおさか堺バルーン」という計画。古墳に隣接する大仙公園を発着場にして、ガス気球を上空100mまで上昇させ、吊り下げたゴンドラから仁徳天皇陵古墳を一望する、というものだ。

この計画を、堺市と兵庫県の業者A社が共同で実施。堺市が地上の設備などを用意、運航業務はA社が受け持った。
気球は直径23mほどのサイズで、ポリエステル製。4月19日夕方から、気球をクレーンで吊り上げ、5時間ほどかけてヘリウムガスを注入。気球にヘリウムガス6000立方メートル(600万リットル)を入れることができた。
運航開始予定は5月25日からで、大人3600円、子ども2400円というチケット料金も公表されていた。
A社によれば、
「気球にガスを注入してから、スタッフの訓練も兼ねて、無人で上空に飛ばしていた。5月7日夕方5時まで当社のスタッフが現場にいました。その時まではなんら異常はなかった」
ところが、翌5月8日の朝になると、気球がしぼんでしまっていたという。
「隣接する堺市博物館のスタッフから『気球がどうもおかしい。小さくなっている』との連絡があり、駆け付けると、満杯に充填していたヘリウムガスが抜けて、半分くらいになっている気球が確認された」(堺市観光部)