日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「コロナ5類移行後」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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世界保健機関(WHO)は5月5日、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」の宣言を終了することを発表しました。テドロス事務局長は同日の会見で、新型コロナについて「新型コロナウイルスがもう世界的な脅威ではない、という意味ではない。新型コロナ感染症は、緊急事態から他の感染症と同様に流行を制御し管理する時期がきた」と述べたといいます。
「コロナパンデミック」は、3年3カ月で終了を迎えたことになりますが、パンデミックの起源に関する最終的な結論は依然として出ていません。しかしながら、今年の3月中旬、2020年の中国武漢の動物売り場や排水溝、屋台、市場の地面などで採取された検体からの遺伝子データが中国の科学者によってデータベースに一時的にアップロードされたようです。束の間ではありましたが、情報へのアクセスが可能となった結果、多くの研究者がそれらの情報を入手することができたといいます。
これまでの調査報告によると、新型コロナウイルスの起源はおそらくコウモリから発生したのであろうことが言われていました。しかし、今回一時的にアクセス可能となったことで判明したウイルス配列やゲノム情報を解析した研究によると、新型コロナウイルスのパンデミック初期のデータは、人間に到達する新型コロナウイルスにおけるタヌキの役割を示唆することを含む、その起源に関する新たな情報を提供するものであったといいます。
さて、日本でもGW明けの5月8日に、新型コロナウイルス感染症における感染症法上の分類が「2類相当」から「5類」に移行されました。分類の移行に伴い、新型コロナウイルス感染症は「感染した時の重篤化など危険性が高い感染症」から「一般的な感染症の一つ」として認識されることになり、感染対策などは個人や事業者の判断に委ねられることになりました。