写真はイメージ/GettyImages
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 都内に住む友人からは、「やっとマスクを外せるようになって嬉しい」という連絡が舞い込んできました。その友人は、GWには両親の住む中国にも一時帰国できたようで、「やっとこれまでのように行き来ができるようになった」と、とても喜んでいました。「いつ両親に会えるか分からない、もう会えないかもしれない……」という不安に押しつぶされそうになり、一時は食事も通らなくなってしまったほど落ち込み苦しんでいた彼女でしたが、すっかり元気になっている様子に私も嬉しくなった出来事でした。

 私が昨年末から長期滞在している米国でも5月11日、2020年1月に出された新型コロナウイルス感染症に対する公衆衛生上の緊急事態宣言が終了しました。それに伴い新型コロナウイルス対策チームも解散されています。空路で入国する外国人に求められていた入国制限であるワクチン接種証明書の提示義務も撤廃され、5月12日からワクチン接種証明書の提示も不要となりました。

「日本のように、きっとアメリカでもコロナの緊急事態宣言の終了がトップニュースになるのだろう」そう思っていた私の予想は大幅に外れ、コロナの公衆衛生上の緊急事態宣言が終了したことは私が見ていたニュース番組では触れられることはありませんでした。その日のニュース番組で扱われる報道の中心は、5月11日米国東部夏時間午後11時59分で失効した「タイトル42」と呼ばれる不法移民希望者の流入制限措置に関するものだったのです。

「タイトル42」とは、2020年3月、トランプ前大統領が大統領令で公衆衛生法に則って不法越境者を即刻追放する政策として導入したものであり、77年前に制定された公衆衛生法の条項で「伝染病を持つ可能性のある国からの米国入国を阻止することができる」ということから、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、不法越境者を即時にメキシコに追い返す法的根拠となっていたといいます。

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コロナだけが社会の問題ではない