写真:佐多宗二商店提供
写真:佐多宗二商店提供

 蔵に貯蔵した焼酎は、20年を経て3分の1に減っているものから8割ほど残っているものまで、さまざまだった。「試飲したらすべて味が違った」というそれを、ウイスキー評論家の土屋守さん、酒販店「横浜君嶋屋」の君嶋哲至さん、ソムリエの中本聡文さんら有識者に協力を仰いで、ブレンドした。これまでに18年ものの晴耕雨讀「白砂誉」や15年ものの不二才などをリリース、すでにファンの間で人気を博している。今年は11月に20年ものの不二才を発売予定だ。

「20年もの30年ものの焼酎が、日本が誇るブランドになって、世界中のバーで楽しめるようになるのは少し先の話かもしれません。でも、蒸留酒の最後の決め手は、年数と酒質の変化。焼酎の価値観が変わる時代は必ずやってくるんです」 

“焼酎は、すぐに飲める手軽なお酒”。その固定観念にとらわれていたら、いまはなかった。ものを生み出すとは、新しさを恐れないことでもあるのだ。(ライター・羽根田真智)

AERA 2023年6月26日号より抜粋