これに対し、原告代理人で動物愛護なども扱う竹村公利(きみとし)弁護士はこう話す。

「インターネットに動画を上げれば、第三者が拡散し、それを見た人が被害を受けるであろうということは当然予測できたはず。原告の損害は法的に賠償されるべきです」

 竹村弁護士は、罰則規定を設けた動物虐待動画に対する法規制の必要性を提唱し、動物虐待動画等規制法の「素案」をつくり、動物愛護団体と共に国会議員などに働きかけを進めている。

「動物虐待動画を見た人に精神的障害をもたらしたり、青少年の成長過程に大きなダメージを及ぼしたりすることなどを考慮すれば、早急に動物虐待動画に対して法的規制を設ける必要があります。表現の自由は極めて重要な人権ですが、無制限ではありません」(竹村弁護士)

 Eva理事長の杉本さんは、こういった動画は動物虐待として厳正に裁かれるべきだと話す。

「快楽のために動物を殺傷するということは絶対にあってはならないこと。しかし、虐待を愛好している人たちの間では、動物を虐待し殺しても大した罪にならないとなめています。まずは、そう思わせてはいけません」

 杉本さんによれば、今まで動物愛護法違反で訴えられたケースで、実刑がついた事例は一例もないという。

「不起訴になった場合は、検察審査会に異議申し立てを行うなど厳正に裁いてもらえるアクションを起こしていく。そうした積み重ねが、動物虐待に対する処分の量刑に影響を及ぼし、動画の投稿を抑えることにもつながっていくと考えます」(杉本さん)

(編集部・野村昌二)

AERA 2023年6月5日号より抜粋

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