AERA 2023年6月5日号
AERA 2023年6月5日号

 自主性や柔軟性の高さでは、奈良県の西大和学園も同じ。

 同校は1986年開校で渋幕同様に新設校だが、京大や阪大など関西の難関大に多くの生徒を送り出してきた。しかし、近年は京大ではなく、東大へ進む生徒が増えている。

 飯田光政校長によれば15年くらい前から東大進学に風向きが変わりはじめたという。そして14年、高2の生徒たち67人が当時学年部長だった飯田校長のもとを訪れ、こう嘆願した。

「東大専用のコースを作ってください」

 その言葉を飯田校長は、どう受け止めたのか。

「本腰を入れて勉強しようとしたら、京大向けのものばかりやないかと思ったんでしょうね。ただ、67人も入る部屋がなかったので急きょリフォームして大きな教室を作ったんですよ」

 そして16年3月、史上最多の29人が東大に現役合格した。

「かっこいい生徒たちでした。ドラマみたいでしょう」

 飯田校長は誇らしげに、そう語った。

(編集部・福井しほ)

AERA 2023年6月5日号より抜粋

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