暗くなった。そんな時には佳子さまだ。何度も書いているが、私は佳子さまのファンだ。自分の意見を堂々と口にするところが好きなのだ。
2019年、国際基督教大学卒業にあたり、文書で「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と述べたことは有名だが、他にも率直な名言満載だった。
眞子さんが皇室を出て、残った佳子さまは公務に励んでいる。日本工芸会総裁就任など姉から引き継いだ活動もあるが、それとは別の佳子さまらしい活動もある。その一つが「国際ガールズメッセ」。20年から22年まで毎年メッセージを寄せている。趣旨はいずれも同じだ。ジェンダー平等が達成され、誰もが人生の選択肢を増やせ、可能性を最大限にいかせる、それが当たり前になる。そういう社会の実現を願う内容だ。
■女子野球に佳子さま
佳子さまの最近の活動で心が弾んだのは、全国高等学校女子硬式野球選抜大会決勝戦の観戦だった。4月2日、東京ドームでの神戸弘陵vs.花巻東。大会自体を皇族が観戦するのは初めてで、佳子さまの姿が大型スクリーンに映ると会場全体から大きな歓声がわいたという。
このことを伝えるスポーツ紙の記事に、「『笑顔いっぱいでプレーする女子高校生たちの姿を見てほしい』という主催者の要望により、佳子さまの観戦が実現した」という記述があった。取材した新聞記者の1人から、歓声に応えて小さく何度も手を振る佳子さまが楽しそうだった、と聞いた。むやみにうれしかった。佳子さまのジェンダー平等に向き合う姿勢が、着実に浸透していると思えたからだ。
自覚の有無を存じ上げるものではないが、佳子さまはジェンダー平等のアイコンになりつつある。それを前提に、「ジェンダー平等」は秋篠宮家のブレイクスルーになる──全く余計なお世話だと承知しつつ、そう確信している。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2023年5月22日号より抜粋