このアンケート調査を詳しく見ると、規制緩和により期待できることとして、(1)多くの人が簡単に使える(53.8%)、(1)新しいサービスが生まれるきっかけになる(同)、(3)乗り心地が良く移動の快適性が増す(43.6%)などの回答があった。
一方で、(1)周囲の歩行者の事故リスクが高まる(95.1%)、(2)周囲を走る自動車や自転車の事故リスクが高まる(77.0%)、(3)ヘルメットや免許が不要になることで事故リスクが高まる(67.2%)などの不安も指摘されている。
前出の国沢さんは、自動車を運転する立場から「当て逃げされたらどうしようもない。やられる覚悟をしないといけない」と懸念を示す。
特に、海外からの旅行者がレンタルで電動キックボードを利用し、事故を引き起こした後に帰国してしまうと、自動車の運転手にとってはどうしようもなくなると話す。また、「歩道を走ることができるようになるので、歩行者は気をつけないといけない」と注意を呼びかける。
日本では自転車に対して、警察の取り締まりが緩いと国沢さんは指摘する。たとえば、自転車に乗る人の信号無視が非常に多い。国沢さんは「自転車でも取り締まらないので、電動キックボードの取り締まりに対しても警察に期待できないと思う」と話す。
日本では電動キックボードについて、事業者を中心にマイクロモビリティ推進協議会が結成されている。また、自民党MaaS議連PTは2021年5月に「電動キックボードの普及に向けた規制緩和等に関する提言」を発表している。提言では、欧米を中心に手軽な交通手段として急速に普及し、日本でも普及が期待されているなどとしている。
日本に先立ち、電動キックボードが普及してきたのが欧州だ。
フランス留学センターのサイトによると、フランスの首都パリでは電動キックボードの「トロティネット」が市民の足になっているという。パリではストライキがひんぱんに起こり、地下鉄やバスが止まると通勤や通学にも大きな影響が出るが、電動キックボードを利用すれば影響を受けにくくなる。パリ市内にはいくつも駐輪場があり、地下鉄や自動車、自転車よりも楽に移動ができて、エコな交通手段で大変便利としている。