本誌編集部員がクラフトビールの醸造体験をしてみた。名前からして週刊誌らしい、辛口ドライな切れ味があるようにも思われるが、このビールは果たしてうまいのか?
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休刊が決まった後、失意の本誌編集部員たちの心を癒やしてくれたのは、ビールだった。毒づきつつグラスを重ねるある日、ふとくだらない洒落を思いついた。
最後の思い出として、編集部オリジナルのビールを作って「アサヒビール」と名づけたら面白いだろうなあ、と。いやそりゃまずいよ。「週刊朝日ビール」にしようと、酔っ払い部員たちはすぐに意気投合。
そこで「NO BEER,NO LIFE」とうそぶく面々が向かったのは、東京・板橋にある「TOKYO ALEWORKS」。ここでビール醸造体験ができるのだ。
予約を申し込むと、「どのようなスタイルのビールにするかお選びください」と言われた。IPA、スタウト、ホワイトエール、セゾンなど8種類から選べるという。20L仕込みで、醸造体験から4~5週間後に、330mL入り瓶48本となる。
IPAを選択し、迎えた醸造当日。
陽光が燦々(さんさん)と入る明るい造りの醸造室で、午前10時30分にスタート。
麦汁に加える薬品をメスシリンダーで量ったり、でんぷんがすべて糖化したかどうかを調べるのにヨウ素を用いたり(でんぷんが残っていれば紫に変色)と、理科の実験をしているかのよう。一方で、麦芽を運び、麦汁を手作業でひたすらかきまぜるなど、体力勝負の一面もあった。
麦汁にホップを加えると、醸造室には“ビールの香り”が漂いだした。それを嗅(か)ぐや、荒れた気持ちも和やかに。16時前に全作業が終了。童心に帰って楽しんだビールの味は?(文/本誌・菊地武顕)
●TOKYO ALEWORKS
東京都板橋区板橋1-8-4
※週刊朝日 2023年6月2日号