東北福祉大・堀越啓太(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
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 毎年多くの選手がドラフト会議で指名を受けているが、プロ志望ながら指名が見送られる、いわゆる“指名漏れ”の選手も当然多く存在している。中には上位指名が有力と見られていながらも、指名のめぐり合わせなどによって指名がないケースも少なくない。ただ、一度指名がなくても次のカテゴリーなどで結果を残せば、当然まだプロ入りのチャンスはある。そこで今回は過去3年間のドラフトで指名漏れとなった主な選手の現在地を探ってみたいと思う。

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 2020年に指名漏れとなった高校生では度会隆輝(横浜→ENEOS・外野手)が社会人で大きく成長。昨年の都市対抗では4本塁打を放ってMVPに輝き、今年の目玉の1人となっている。度会以外で社会人に進んだ選手では片山楽生(白樺学園→NTT東日本)、内田了介(埼玉栄→Honda本)、加藤優弥(金沢龍谷→日本製鉄東海REX)、若杉晟汰(明豊→ENEOS)の投手4人が今年解禁となるものの、まだチーム内での地位を確立するまでには至っておらず、現時点では今年の指名は微妙な状況である。

 一方、大学に進んだ選手も投手では美又王寿(浦和学院→中央大)、常田唯斗(飯山→専修大)が楽しみな存在であるが、こちらも主戦と呼べるまでの活躍は見せていない。そんな中で、野手で面白い存在となっているのが井上幹太(神村学園→金沢学院大・外野手)だ。入学直後から4番に座ると、2年秋には三冠王に輝き、昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿にも選出されている。今年の春もマークが厳しくなった中でも11試合で5本塁打、19打点という圧倒的な成績を残した。堂々とした体格で軽く振っているようでも飛距離が出るのが大きな魅力だ。昨年の大学日本代表候補合宿でもそのパワーは目立っていた。地方リーグではあるものの、貴重なスラッガータイプとして今後注目が集まる可能性が高い。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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