芸能全般を見渡しても、ここ数年でその本質は決定的に失われたと言えるでしょう。非常識や非日常や悪趣味を見せてお代をいただくのが、芸能という稼業の本来の姿だったはずが、今や世間の道徳や正義の範囲内で「共感」を得るだけのものに成り下がった感があります。

「共感」は安心を生むかもしれませんが、刺激は与えてくれません。それでも「共感」を欲し、「平等性」とやらを主張し、「常識人」ぶりたいというのが大多数の世間の望みなのであれば、それが時代というものなのでしょう。私は私の出来る限りで、誰かの「刺激」になるために、オカマとしての務めを遂行するまでです。これ以上、オカマにとって生きやすい世界など今は求めていないので、どうかお構いなく。

 初回とは言え、自分語りが過ぎましたことをお許しください。

 来週は、「不徳も徳も徳の内。それでも徳を積み続ける広末涼子の務め」について書く予定です。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?