大宮:じゃああんまり家に帰ってこれない?
山崎:そんなときもありました。単身赴任してたときもありますし。でも、母も心配性といいつつ、父のところに結構行って。「(家事は)子どもたちで頑張ってねー」とか言われて、中学時代。えーって。
大宮:子どもより「パパのところに行ってくるー」って感じで?
山崎:約1カ月ごとに行き来してて。
大宮:その間子どもたちは?
山崎:一応祖母がいたんですけど、買い物とかお弁当づくりとか、兄と分担して。
大宮:自分でやってたんですか?
山崎:やってました。「今日はお兄ちゃんごはん作ってよ」「じゃあ、今日は私やるわ」みたいな。
大宮:何か「おしん」みたいですね。
山崎:そうそう(笑)。
大宮:おばあちゃんは?
山崎:おばあちゃんは、ニコニコしながら、はい。
大宮:じゃあ、包丁も自分たちで?
山崎:ああ、もう、そうですね。
大宮:それはお母さんが教えてくれたんですか。「こういうふうにやりなさいよー」なんて言って。
山崎:基本は教えてもらいましたが、「あとはまかしたわよ」みたいな。
大宮:本当? すごい、みんな自立した生き方だったんですね。
山崎:そうですね、今から思うとね。不思議なバランスですよね。でもちょうどいい距離感でした。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示
山崎直子(やまざき・なおこ)/1970年、千葉県出身。93年、東京大学工学部航空学科卒業。96年、同大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了。宇宙開発事業団(現・JAXA)に入社。99年、宇宙飛行士候補者に選抜され、2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗
※AERA 2023年5月22日号