帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)さん。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「最高のプレゼント」。

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【感謝】ポイント

(1)新しくクリニックを開設する話、しかし資金がない

(2)困ったときに思い浮かんだのが、I社長さんのこと

(3)I社長さんが二つ返事で資金提供を承諾してくれた

 いろいろな方からプレゼントをいただきます。特に私の誕生日はバレンタインデーに近いので、女性からダブルでもらうこともあります。ありがたい限りです。87年を振り返ると、どのプレゼントについても感謝の気持ちでいっぱいですが、そのなかでも最高のプレゼントについてお話ししたいと思います。

 20年ほど前になります。JR系列のホテルメトロポリタンの会長が私に会いたいというのです。和食の店で一献傾けながら聞いたのは、以下のようなことです。

 これからの日本のテーマは観光と健康である。新たに健康の分野に進出したいので、ホテルメトロポリタンの中にクリニックを開きたい。しかし普通の西洋医学ではなく、統合医学のクリニックにしたい。そこで、その分野の第一人者である帯津先生に、相応(ふさわ)しい医師を紹介して欲しい。

 私は統合医学というよりホリスティック医学なのですが、そのへんの差はたいしたことではありません。それよりも、この最初のクリニックがうまくいけば、主要駅にあるJR東日本系列のホテルに次々と統合医学のクリニックが誕生するかもしれないのです。これは、どうしても成功させなければいけないという気になり、こういう言葉が出ました。

「これは日本の医療の将来にとって、きわめて大事な話なので、私が自分でやりますよ」

「えっ! 本当ですか! それならば、それが一番ですよ」

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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