東京・八王子の滝山病院
東京・八王子の滝山病院

 重度の認知症患者を受け入れる高齢者施設でも似たよう問題が隠れている。2025年に約800万人の「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」。介護への負担はこれから激増するが、対策はないに等しい。

 厚生労働省は、40年度には69万人多くの介護人材が必要になると推計している。介護人材以外にも、建設労働者、農業従事者、物流人材、IT人材、教員、保育、自衛官、研究開発人材など、どこもかしこも人材不足が予想され、合計すると百万人を優に超える。労働力人口はどんどん減るのにどうするのか。ロボットに期待したいが、間に合わない。人材破綻は必至だ。

 安倍晋三元総理を支持していた岩盤右翼層は外国人受け入れには反対だろう。安倍氏の呪縛に囚われた岸田文雄政権は、すぐには動けそうもない。

 一方、今のような中途半端で日本に都合の良い外国人使い捨て政策を続ければ、本当に追い詰められた時にはどこからも移民は来てくれないということになるだろう。

 このように説明すれば、本格的な移民受け入れ政策に賛成という人も増えるのではないか。ダメだと言うなら、代替策を示してもらいたい。



週刊朝日  2023年3月31日号

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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