鳥インフルエンザ対策のため、鳥にえさを与えないよう呼びかける看板
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■さわっただけで人に感染しない

 一方、鳥の感染に気づくのが遅れると、養鶏場は「3密状態に人がしているので、すぐうつる」と東北大学の児玉さんは指摘する。

 鳥インフルが人へ感染する可能性は、日本ではないのだろうか。北海道大学の迫田さんは「家畜衛生の遅れた国で認められていた」と指摘しつつも、欧州や米国のような家畜衛生の先進国でも報告されるようになったと話す。そのうえで、「日本でもひとごとではない。感染している鳥に触れる機会が明らかに増えている」という。

 鳥インフルのウイルスが鳥では腸管感染という東北大学の児玉さんは、感染している鶏が産む卵について「お尻から出てきて汚染される」と指摘する。対策については、生肉や生卵は加熱することや、生ものを調理処理した際に、まな板や手はきれいに洗うことをアドバイスする。

 農水省の消費・安全局の担当者は「感染した鶏は致死率が高く、目に見えて悪くなる。感染していれば死ぬ」と話す。一方、養鶏場では鶏が何羽も死んでいないと感染を疑うことはなく、鶏が感染して死ぬまでの短時間に、産んだ卵などが出荷される可能性もゼロではない。

 農水省の担当者は、卵にウイルスが「付着することはある」と可能性を認めたうえで、「流通している卵はパックするときに消毒する。リスクはほとんど考慮することはない」という。卵や鶏肉については「リスクのあるものは流通していない。安心して食べていただいて大丈夫」と話す。

 大流行する鳥インフルだが、たとえ感染している鳥でも、それをさわっただけでは人に感染することはない。一方、狩猟などで捕らえた鳥類を食べようとする場合、自分で解体処理するのは、細心の注意が必要になる。

 市販の鶏や卵を調理するとき、調理機器や手の洗浄を心がけたい。心配な人は、加熱処理したものを食べればリスクがほとんどなくなる。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2023年3月24日号

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