鳥インフル(H5N1)の人への感染について、厚生労働省が世界保健機関(WHO)の公表をまとめたところ、2003年11月から昨年12月1日まで、世界の発症者数が計868人、うち457人が死亡している。致死率は52.6%に達する。主な国の発症者数と死者は、インドネシアが200人と168人、カンボジアが56人と37人、タイが25人と17人、中国が54人と32人などとなっている。

 最近もカンボジアで2月に、鳥インフルに感染した11歳の少女が亡くなった。WHOは、人を含む哺乳類への感染例が増加しているとして、注意を呼びかけている。

 一方、鳥インフルが人に感染することはまれと指摘するのは児玉栄一・東北大学教授(災害感染症学分野)。ウイルス感染のメカニズムは、動物の細胞表面にあるレセプター(受容体)にウイルスが結合して感染する。その構造は、鳥と人で違うという。鳥は「2、3結合」となるが、人は「2、6結合」となり、児玉さんは「人の肺胞の奥までいくと2、3結合の細胞が一部あるが、メジャーでない」と話す。

 人が鳥インフルのウイルスに感染するのは「肺の奥まで吸引した場合。先進国では検査をして、すぐ隔離する」と児玉さんはいう。人は呼吸器感染だが、鳥は腸管感染とも指摘する。

 カンボジアで2月に亡くなった少女の事例に関連して、北海道大学の迫田さんは、生きている鶏を買ってきたのが感染していて、庭先でさばいたときに大量のウイルスを浴びて感染した可能性が考えられるという。一方、家畜衛生の遅れた国と違って、日本では生きた鶏を一般人が庭先でさばくような時代でないという。さらに、加熱処理するとウイルスは死んでしまい、「ウイルスも加熱処理すれば、たんぱく質」とも話す。

 鳥インフルのウイルスが人に感染するのを防ぐのに重要なのは、【1】鳥の感染を起こさない、【2】人にうつさないこと、と迫田さんはいう。火事の初期対応と同様で、「すぐ封じ込めることが重要」と強調する。そこをいい加減に対応している国では、人にも感染してしまう可能性があるとみる。

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