※写真はイメージ(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 新型コロナウイルス対策のマスクの着用が、3月13日から「個人の判断」に変更される。文部科学省は、今年度の卒業式で「マスク外しが基本」との方針を示している。ただ、マスクを外すことに慎重な姿勢を見せる子どもたちも少なくないようだ。AERA 2023年3月20日号の記事を紹介する。

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 卒業式を巡る保護者の思いもまた複雑だ。静岡県に住む中学3年の男子生徒の40代の母親は、卒業式では基本マスク不要と聞いたときは、「あぁ、良かった」とほっとする気持ちがあった。だが息子の「周りを見て判断する」という言葉に「それはそうだ、自分もきっとそうだな」と思い直した。

「いくら取っていいですよ、と言われても、自分だけ取れば非常識だと思われるかなと気にならないわけがないな、と」

 女性にはほかに、中学1年と小学5年の息子もいる。野球部に所属する中1の息子は、「真っ先に外すのは難しいから、集団のなかで2番目くらいに外すかな」と口にしていたという。

 女性自身もまた、ほかの保護者の口元を知らずに3年間を過ごした。

「コミュニケーション自体がぎこちなくなっているな、と感じます」

■親同士の関係も希薄に

 都内で小学6年の男の子を育てる40代女性は、「卒業式ではマスクを外すかもしれないよ」と息子に声を掛けたところ「えー、嫌だ」と即答されたことが忘れられない。

給食の時間にマスクを外した際、女子から『マスクをしていたらかっこいいのに』と言われたことがあり、気にしているのかなと感じました。『マスクをしていないと恥ずかしい』とも口にしている。異性が気になる年頃であるからこそ、そうした思いが強いのかもしれません」

 進学する私立中学の入学式でもマスクをつけるつもりだ、と息子は言う。堂々の“外さない”宣言に、親としては寂しさを覚える。この3年間、保護者同士で集まる機会もほとんどなく、親同士の関係も希薄だ。

「クラスの友達がマスクをつけずに卒業式に行くのか否かもわからないことも不安です。『○○くんのところ、外すってよ』と言葉を掛けることもできない」

 息子の気持ちを理解しつつも、卒業式を機に少しずつでも外していく方向にしていかないと永遠に外せないのではないか、という懸念もある。それにしてもなぜ、マスクを外すことにこんなにも恐れを抱いてしまうのか。

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