占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:現在初めての留学中です。まだ2週間しか経ってないのですが人見知りということもあり、なかなか友達ができません。自分の想像していた留学生活とかけ離れていて不安な毎日です。(女性/家業手伝い/25歳/ふたご座)

A:いただいたご相談を読んで、あらためて思ったことがあります。それは、人は自分の想像を壊していくために新しいステージに足を踏み入れるんじゃないかな、ということ。いま感じている寂しさとかキツさ、ジタバタしている体験は、きっとかけがえのない財産になると思います。

 たまに、新しい道に踏み込んだ時に「想像とそんなに変わらなかったな」と感じる人もいると思うのですが、そういう人はよっぽどの修行を積んできた人です。修羅場を乗り越えてきた人たち。思い描いたようにはいかないことを知っていて、期待値を上げすぎないでいられる人は、強いですよね。

 留学だけではなく、どの人にとっても、現状の生活が自分が思い描いた理想とかけ離れている時があると思います。そういうときは「自分の想像を壊していくために、いま新しいステージにいるんだ」と思ってほしいです。せっかくその場所に足を踏み入れたのだから、今までと同じ自分を繰り返さなくてもいいんです。4月から新生活が始まる人にもぜひお伝えしたいです。

 このご相談者の方にアドバイスするとしたら、例えば「1日5人に話しかけることを自分に義務付ける」のはどうでしょうか。一対一で人と仲良くなるのはなかなかハードルが高いから、この人を通じて、もっとこの街のことを知りたい、というイメージを持つといいように思います。奥の方に目的を作ると、目の前にいる人と仲良くなりやすかったりします。今までの自分がやってこなかった新たな行動って怖くてしょうがないですよね。だからこそ、義務付けちゃった方がいい気がします。発音や文法がめちゃくちゃでも話しかけてみる。そういう日本文化の人たちが苦手なことをどう殻を破ってやっていけるか。一つひとつのチャレンジとして、自分がやったことを積み重ねていくしかないように思います。

 ふたご座の人見知り度って、結構最強クラスじゃないかと僕は思っています。表の顔と裏の顔を両方持っている人たちで、ふたご座が仲良くなる人たちって限定されていたりします。あるところではフレンドリーに接していたかと思いきや、他ではその笑顔がずっと引きつっているみたいな。

 少し乱暴なアドバイスかもしれませんが、「ずっと付き合うわけじゃないし」「帰国したらもう会わない人たちだし」と割り切ってしまうコミュニケーションや、その場限りの仲良し感みたいなものも、人と仲良くなるためには活用していっていいと思います。

◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

AERA 2023年3月20日号