寝たきりの長女にも「反抗期」

 ちょうど同じ頃、寝たきりの医療的ケア児の長女にも「反抗期」があらわれました。重心児(重症心身障害児)にも反抗期があることに驚きましたが、ある時期から、私にだけ強く自己主張をするようになりました。長女は私の最大の癒やしであり、16歳になった今でもどうしても赤ちゃんのように接してしまうのですが、神経科の先生いわく、私のように過保護に育てている母親によくあるそうです。食事はプリンやクリーム以外は口を開けず、たびたび「うにゃー!」と不快な声を出すようになりました。言葉が通じないので、長女の変化にどう対応するべきか真剣に考えてしまいましたが、神経科の先生から「それは反抗期ね~。ゆうちゃんだって、ぴぴちゃん(次女)と同じように思春期なんだから、ほっといてよ!と言ってるんじゃない?」と笑顔で言われたとたん、とても納得し吹っ切れました。学校やレスパイト先では普段と変わらず過ごしているようなので、彼女にもきっと言葉にならないモヤモヤがあるのだと思うことにしました。

卒業式には双子の妹の制服を

 そんな中で迎えた長女の中学の卒業式の日には、前週に卒業式が終わった次女の制服を着せることにしました。長女が通う特別支援学校には制服がないので、小学校の卒業式と同じようにブラウスとスカートとカーディガンの組み合わせを考えていましたが、次女に相談し、制服を借りることに決めました。次女の学校の制服は、チェックのスカートにワインレッドのネクタイととても明るいので、卒業式にぴったりでした。普段は全く別の生活を送っているふたりなので、たまにはおそろいも良いですね。かわいい姿を見て嬉しくなりました。

 さて。

 今、我が家の子どもたちは、難しい時期を越えて少しずつ大人になっています。それぞれが自分の人生のペースをつかみつつあるようです。

 私もそろそろ過保護な母を卒業する時期かもしれませんね。

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