9月28日放送の156話でついに幕を閉じたNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。その人気ぶりは、放送終了後の「アイ・ミス・ユー」な状態を示す「あまロス症候群」なんて新語まで生むほどだった。
 そんな「あまロス」状態のアマラーたちの心を癒やすのが、スナック梨明日ならぬ「あま本」の数々である。『あまちゃんメモリアルブック』(NHKサービスセンター)では5人の演出家が裏話をまじえて全26週の物語を掘り下げ、『おら、「あまちゃん」が大好きだ!』ではディープなファンの面々が「あまちゃん」への熱い思いを語る。本誌「マガジンの虎」の亀和田武さんも巻頭を飾っています。題して〈2013年、『あまちゃん』は最大最強の国民的関心事となった。〉。2冊読破するとさすがに食傷気味になるものの、「じぇじぇじぇバブル」は当分続くかも。
 そんな中、スタッフともファンとも異なる立場から「あまちゃん」を語って異色なのが達増拓也岩手県知事である。薬師丸ひろ子(1964年生まれ)と同い年という知事は東大法学部卒。外務官僚を経て衆議院議員を4期務め、07年に知事に就任して現在2期目というエリートだが、そのツイートやインタビューの本気度たるやかくのごとし。
ドラマの中で、海女さんたちが地元の海に潜ってウニを獲り、それを弁当に加工し、ローカル鉄道の車内で販売していますが、これは、第一次産業(漁業)、第二次産業(食品加工)、第三次産業(流通・販売)を総合した「第六次産業化」です〉
 これを指して「アマノミクス」と知事は称する。「あまちゃん」のようなやり方で地域の資源を発掘し、アキとユイの動画のようなやり方でネットを活用する。〈岩手から日本全体が元気になるよう、「アマノミクス」で「じぇじぇじぇ改革」を進めるように取り組んでいます〉
 「じぇじぇじぇ改革」って何なんだ。世界遺産も経済、五輪も経済、ドラマも経済。自治体が大河ドラマ朝ドラの誘致に動くはずだよ。

週刊朝日 2013年10月18日号

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