●ブル中野(全日本女子など)

 女子プロ史上最高のヒールと言われたのがブル中野。大柄な身体ながら空中殺法を使うファイトで観客を魅了、WWWA世界シングル王座(全日本女子)獲得などで「女帝」とも呼ばれた。またCMLL世界女子王座(メキシコ)、WWF世界女子ヘビー級王座(米国)奪取など、世界的に活躍したことでも知られている。

「他のことはすべて捨てて、プロレスのみに生きる」

「ダンプ(松本)さんの試合は技で戦うものではなくて、凶器攻撃でお客さんに魅せるもの。私にはプロレスの心がある」

「強くなければプロレスラーじゃない、頭がよくなきゃ上には行けない、心がなければトップには立てない」

 テレビ出演などで有名となった悪役・ダンプ松本の子分的立場でヒールをスタート。しかし誰にも負けないプロレスへの情熱を持ち続けた。

「もういいよ、とお客さんに言わせればいい」

 90年11月14日、アジャ・コングとの金網デスマッチ戦(横浜文化体育館)は永遠に語り継がれる一戦。金網上からのギロチンドロップは雑誌・週刊プロレスの表紙を飾ったが、試合前には短い言葉ながらも覚悟を語っていた。

「憎まれて悔いなし、石投げられて悔いなし」

 引退興行での言葉にもレスラー、そしてヒールとしての生き様が現れていた。リング内外で存在感を残した素晴らしいレスラーだった。


●長与千種(全日本女子、ガイアジャパンなど)

「プロレスラーになれて本当によかった。プロレスが大好きです。今度また、この世に生まれてきたら、またプロレスがやりたいです」

 女子プロ界のレジェンド・長与千種は1989年5月6日の横浜アリーナ大会で最初の現役引退。盟友ライオネス飛鳥とのクラッシュギャルズでのタッグ戦の他、シングル戦など数試合を行った後にマイクの前に立った。

「プロレスに対する情熱が急速に冷めてしまった」というのが引退理由だったが、プロレス愛は簡単になくなるものではなかった。1993年に現役復帰した後は、団体設立やプロデュースを行いつつ要所でリングにも上がるなど、プロレスへの思いの強さは誰にも負けないものがある。

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若くして亡くなった女子レスラーの“記憶に残る言葉”