では、そういった中で日本人選手が勝っていくにはどうするべきなのか。

「僕はそう聞かれたら『アメリカに行くことです』って答えてます。佐藤天くんだったり村田夏南子ちゃん、そして平良達郎もそうですけど、現状であればアメリカに行った方がいいと思います。ここから今まで話したような構造を全部変えていくより、それが今すでに存在しているアメリカのトップジムに行った方が早いじゃないですか。悲しいですけど現状はアメリカに行くためのお金を何とか捻出して、さっさとアメリカに行くっていうのが世界で勝つファイターを作るための最善手じゃないかと思います。それもできるだけ早いうちがいいです。だからそこに20代の前半から旅立った堀口選手はやっぱりスゴいですよね」

 アメリカントップチームであれば、不動産で巨万の富を築いたオーナーが存在し、日本のトップアスリートがトレーニングを行う国立スポーツ科学センター(JISS)と見紛うような施設と体制で選手がサポートを受けている。

 プロ指導に特化した指導者の不在、環境・体制面のおくれ。今日明日で解決できる問題ではないが、まずは現状を認識し、才能ある若手選手は金銭的サポートを受けてよりよい練習環境へ送り出していくことが、日本MMAを上向きにしていくのかもしれない。(文/長谷川亮)

●プロフィール
長谷川亮/1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」 編集部を経て2005年よりフリーのライターに。 格闘技を中心に取材を続けている。 そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『 琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督、格闘技・プロレスのインタビューチャンネル『 青コーナー』の運営も。