那須川天心vs武尊のTHE MATCH 2022が大きな話題を集めた格闘技界。だが進化と拡大を続けるMMAに目を移すと、世界の舞台で日本選手の苦戦が見受けられる。日本のMMAが強くなり勝っていくには何が必要なのか。海外ジムで武者修行を行い、今春“スーパーノヴァ”平良達郎のUFCデビュー戦でもセコンドを務めた第11代修斗世界バンタム級王者・岡田遼に話を聞き考察した。
【写真】日本初のUFC王者なるか MMA界の“新星”がこちら
「これは日本格闘技界の課題なのかなって思うんですけど、アメリカではコーチが選手の勝敗と育成のみにフォーカスして、責任を負って飯を食べているんです。自分が提供する練習でジムの選手が強くなっていかないと首を切られるリスクを負っているので、本当に自分が提供する1回1回の練習に懸けるコーチたちの姿勢だったり熱量がやっぱりちょっと違います。僕がここで定義するプロのコーチとは“プロのMMAファイターだけを見て、育成とその勝敗のみに責任を負って飯を食べている人”っていう意味ですけど、そういう人って日本にいるのかな?と思います」
もちろん日本にも優れた指導者はいる。だがアメリカでは指導者たちがよりプロMMAにフォーカスして研究と指導に当たっている。
「アメリカにはそういった『プロのMMAコーチ』という優秀な指導者たちがいて、ジムのヘッドコーチを任される。(コーチの間でその責任を)任されるかどうかというところで競争も起きていると聞きます。指導した選手が勝つ・勝たない、強くなる・強くならないが自分の職業と職域に関わってくるので、やっぱり仕事がプロになってくるし、熱量も変わってくるんです」
競争が激しくなるほど、比例してレベルも向上するのは物の道理だが、MMAではそれが指導者たちにも起きている。
「日本のジムでは一般会員さんを教えて、キッズクラスを教えて、他にも色々とやって、じゃあプロ練やりましょうとなるのに比べ、日々自分の指導や最先端のMMAシーンを研究している向こうの指導者の練習ではやはり内容・密度が違ってきて、それは1つ僕が感じているところではあります」