■先祖430代で1千万円超

 外山さん自身は中高生の時から教義に疑問を感じ始め、大学生の頃には教団から距離を置いた。だが、幼いころから心の奥底に染み込んだ教義はその後も外山さんを束縛した。世間とかけ離れた教団の「常識」がなかなか抜けず、人間関係で苦労し、両親の献金により学費にも苦慮した。母親は教団を捨てた外山さんを責め、その呪縛にもずっと苦しめられてきた。

 それでも外山さんは「両親も教団の被害者だ」と思いながら親子関係を維持してきた。それゆえ、問題となっている高額献金のシステムなども間近で見てきたという。

 1980年代後半から90年代にかけて霊感商法が問題視されて以降、教団は壺は販売しなくなったが、グッズを販売する集金システムはいまも変わらないという。

「例えば『天聖経』という教祖の言葉が書かれた本があるのですが、これは1冊140万円です。実家にも天聖経は置いてありますが、人によっては何冊も購入します。他にも亡くなった後に霊界で住む家の模型なども高額で売られていて、グッズ販売が献金の代わりのような役割を果たしています」

 外山さんによると、最近の主な高額献金は『先祖解怨(せんぞかいおん)』だという。

「韓国に清平(チョンピョン)という聖地があって、そこで先祖の恨みを解くための儀式『先祖解怨』をしてもらうのです。私の場合、たとえ両親が信仰によって神様の血統に転換されていても、その前の代、さらにその前の代にはサタンの血統が混じっているという理屈で、先祖代々の因縁を解放するという名目で行われます。先祖をどんどんさかのぼって、最終的には430代にも上ります。ウチの両親もこの献金を行っていましたが、最近、父親が『うちは相当つぎ込んだ。ふつうに家一軒買えるくらい』って、ぼそっと言っていましたから、数千万円は献金したみたいです」

 清平とは、ソウル近郊にある「HJ天宙天寶修錬苑(旧天宙清平修錬苑)」のことだ。

次のページ
献金額を達成すると礼拝で称賛される