しかし、なぜ山上容疑者の母親は破産するほど旧統一教会にのめり込んだのか?
「報道で知る限り、夫が亡くなったり、子どもが病気だったり、つらい事情があったと思うんです。統一教会は、そういうところにつけこむのが常套手段です。『亡くなったご主人が霊界で苦しんでいる』『子どもの病気も先祖の因縁のせいだ』などとかこつける。実態のない霊界を持ち出されて恐怖を植え付けられると、もうお金の問題じゃなくなっちゃうんです。それが高額献金に結びつく。なぜそう思うのかというと、うちの親もそうだったからです」
外山さんの父親はネグレクトに近い状況で育ち、兄弟も知的障害や精神疾患を患っていたことから、昔から家庭についてかなり悩んでいたという。そして、母親も家庭の悩みを抱えていた。
「母親のお母さんは若くして脳卒中で要介護状態になってしまった。ずっと自分は何で生きるんだろうと考えていたみたいです。いろいろな宗教に救いを求めて、最終的に行き着いたのが統一教会だった。うちの両親も心の穴につけ込まれて教団にのめり込んで、高額献金してしまったのです」
■高額献金は幹部の懐に
銃撃事件後、教会の田中富広会長は信者の献金について「ご本人に対するノルマという扱い方はしておりません」と発言したが、外山さんは「それはまったく違う」と断言する。さらにこう続ける。
「記者の『これ以上献金すると破綻するからやめましょう、と言うことはあるのか』という質問に対して(田中会長は)『むしろそっちの方が多いです』と答えましたけれど、そんな事例は聞いたことがありません。私は他の2世たちともつながっていますが、むしろ、山上容疑者の母親のように自己破産した信者の家庭の話はよく聞きます。他にも、献金に困って子どものクレジットカードを勝手に作ってカードローンを組んだり、奨学金を使い込んだという話もよく耳にします」
教団広報に聞くと「(破産した人が)いるという話は聞いたことがあるが、よくいるという話は聞いたことない」と回答した。
実際、外山さんは両親が教団に高額献金してきたのを間近で見てきたのだから、会長の発言にはより思うところがあるだろう。だが意外なことに、両親は教会の体質に問題があることは知っているという。