渡辺弁護士によると、過去には、若くして税理士の夫を亡くし、悲しみにくれていた40代の女性が、こうした手口で取り込まれた。

 子どもの将来のために使うはずだった夫の生命保険金を全額献金し、実家の両親にも高額の壺を買わせた。教団からはさらに高麗ニンジンを使った商品の販売ノルマを課せられており、両親に数百万円で買い取るよう要求したところ、拒否された。

 ノルマが苦になったのか、女性はその後、実家近くの川で自殺したという。

 大学などで若者をターゲットにする際は、一人でいる人を狙うケースが圧倒的に多いと渡辺弁護士は言う。

 全国の多くの大学が「カルト宗教による勧誘が続いている」としてホームページ(HP)や入学時のオリエンテーションなどで学生たちに注意を促している。大阪大学は「ボランティアやスポーツサークルを隠れみのにしたカルト団体に要注意」として、勧誘のパターンを動画にまとめて公開した。青山学院大は旧統一教会と摂理を「危険な宗教団体」と名指しして、HPで勧誘活動への注意を呼び掛けている。スポーツ活動やコンサート、ボランティアなど声かけの手口はさまざまだが、首都圏のある私大の担当者は「ラウンジや共有スペースに一人でいるときに声を掛けられることが多い」と説明する。

 学内や学校の近くで一人でいるときに話しかけられたら、一度注意をした方がいい。イベントが魅力的でもまずは主催者を確認し、何者かが分からなければ学生課に相談するのも手だ。

「入信してからの対応は難しいので、声をかけられた時点ですぐに相談にきてほしい」(前出の担当者)

 こうした宗教団体は勧誘していることを誰かに話されるのを嫌がるため、渡辺弁護士もすぐ誰かに話すことを推奨する。

「勧誘された時、『友達に相談しますね』などと言ってみること。また、友人でも親でもいいので、誰かと会ったり、誘われたことを話すことが大切です。自分はいい人だと思っていても、第三者は冷静ですから、何かおかしいと気づいてくれることがよくあります」

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信者は「狙った人は全員落とす自信がある」