渡辺弁護士によると、大学生などの若者には、SNSを通じて接触してくるケースも多いという。
ツイッターで「#春から〇〇大」など新入生だとわかるハッシュタグや、就活を控えた学生に、学生生活や就活のアドバイスと称して、現役学生や卒業生の信者が近づいてくるという。
摂理は、主に大学生らの若者を勧誘のターゲットにしている。SDGs以外にも、環境問題やボランティアなどに関心のある「意識の高い学生」を狙い、有名企業で活躍する信者らが登場するイベントに誘ったりする。その道に興味がある学生にとって、勧誘の入り口を魅力的に仕上げているのだ。そうした徹底的な正体隠しによって、警戒心を抱かせずに関係をつくった後、「聖書を学ぼう」などと徐々に宗教色を出し始め取り込んでいく。
一方で、統一教会のメーンターゲットは中高年の裕福な女性である。
特に狙われやすいのが、山上容疑者の母親のように、配偶者と死別するなどし、深い悲しみや孤独を抱えている人だという。
2人1組で家を訪問し、「手相を見る」などと話しかけるのが常套の手口。普通はここで断りそうなものだが、悲しみの底にいる人は誰かに話を聞いてほしかったり孤独を抱えたりしているため、会話に応じてしまうのだという。
「彼らは本当によく話を聞きます。長い時間をかけて、その人が抱えているつらさや思いにじっくり耳を傾けます。苦しい時に話を聞いてくれるので、信頼が生まれてしまうのです」(渡辺弁護士)
次のステップは、集会への勧誘だ。名目は「供養を学ぶ会」であったり、「大病を克服して生きている人の話を聞く会」だったりするのだが、2人1組の信者には役割分担がある。一人が熱心に誘う役目で、もう一人は「私も誘われて参加してみたら、とても勉強になったんですよ」などと相づちを打ち、不安を取り除くのだ。
「人間関係が出来上がった後になって『因縁や祟り』などの話を持ち出します。『先祖が地獄で苦しんでいますから、今できることを精いっぱいやりましょう』などと、一気に数千万円の献金をさせる。世界平和統一家庭連合の名前を出し正体を明かす前に、献金させてしまうこともあります」(渡辺弁護士)