「相談した経験の有無」についての質問には、「誰にも相談していない」が25人いて、うち、相談先を知らなかったという人は6人いた。また、「問題を解決するために相談に乗ってくれた」と答えた人は18人いたが、ハラスメントとして認定を受けたケースは6件と少なかった。
さらに、不適切な相談対応の事例として、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せず、あいまいなままだった」が31件、「ハラスメントを認めなかった」が21件、「訴えを公にしたり大事にしない方が良いとアドバイスされた」が21件だった。さらに、相談したことを理由に、解雇や降格、減給、不利益な配置転換など「不利益な扱い」を受けたケースが5件あった。
Change.orgによると、自由記述に寄せられた声には次のような回答があった。
「男性たちが飲み終わったお酒の缶を片付けている時に、名前を呼ばれて振り返ると、男性がベンチに座って全裸で開脚していました。私はその時に初めて男性の陰部を見ることになりました。酔っている男性の接待をさせられたり、できないことで説教されたりして、トイレでよく泣いていました。なんのために自衛隊に入ったのか、わからなくなりました。女性は男性よりも入るのが難しく、一生懸命に勉強して、面接の練習をして、自衛隊に憧れて入隊したのに。こんなことをするために入隊したわけじゃない、と思って辞めました。仲の良かった女性の先輩は、私が辞めた1年後にうつになって、辞めました」(20代、女性、陸上自衛隊)
「宴会の場で、先輩隊員に『野球拳に参加しろ』と言われました。参加を断ると『しらけるわ、おまえのせいで』と言われて空気が悪くなったため、参加しました。最初は負けても脱がなくてもいいと言われましたが、いざ負けたら『野球拳のルール知らんのか』と、服を脱がされ、拒否すると、平手で頬を叩かれました」(30代、女性、陸上自衛隊)
「年上の男性隊員が隣の椅子に座ってきて、休憩中の私の太ももを触ってきた。『こういうことをされたら、ちゃんと拒否しなくちゃだめだよ』と言われた。気持ち悪かった。直属の上司にセクハラを相談したら、外(基地の外側)で話さないか、と言われ、この人もだめだと思った。(略)更衣室は物置。トイレは男性と共有。少しずつ女性自衛官が働きやすくなっているようだが、まだまだ男社会が強い」(20代、女性、航空自衛隊)
五ノ井さんの「告白」により一気に動き始めたこの問題。声はどこまで届くのか。
(AERA dot.編集部・岩下明日香)