それだけで終わらず、最初に首をキメてきた三曹が、再び同じことを繰り返してきた。顔をひきつらせた五ノ井さんに対して、三曹は「これ誰にも言わないでね」と口止めしていたという。近くにいた別の男性隊員は「今さらなに言っているんだよ」と三曹に向かって声をかけていたのを五ノ井さんは聞いたという。
「部屋の中には数十人いて、笑っている人もいれば、ただ見ているだけの人もいました」(五ノ井さん)
会見の質疑応答では、現在の調査状況について問われた。五ノ井さんの耳に届いている情報としては、上司2人が内密に聞き取りなどの調査を関係者に行っているということだった。
「今のところ、男性隊員たちからは『見ていない』『やっていない』という証言しか出ていないと聞いています。むしろ、内部の人からは、『五ノ井が嘘をついている』と、嘘つき扱いをされていると聞きました」(五ノ井さん)
さらに、五ノ井さんと同じ部隊に所属し、同じようにセクハラを受けていた元女性隊員にも聞き取りが行われたとされる。
「(調査に対して)元女性隊員は、日常的にセクハラがあったと証言してくれました。上司は『守ってあげられなくて申し訳なかった』『今後、時間はかかるかもしれないけど、この問題は2人で扱っているから、時間がかかる』と説明されたと聞いています。ただ、『相手が認めない限り、処分はできない』とも言っていたと聞きました。これだけ大きな問題になっているのに、調査をしているのが2人だけで、しかも密かにやっているのはおかしいです。しっかりと専門の人に再調査をして頂きたいと思っています」(五ノ井さん)
五ノ井さんが被害にあっていた様子を目撃していた数十人の男性隊員から、有力な証言を得られないことについては、「縦社会、上下関係が厳しいので、例え見ていた人がいても、上の人が『言うな』と指示すれば誰も言えなくなってしまう」といい、一方で「自衛隊全部がそうではなく、たまたま私のいた部隊では中隊長がしっかり管理してくれなかった」と、心境を吐露した。