芸歴32年、いま、お茶の間の記憶に残る男として、TV出演急増中の芸人・チャンス大城(本名:大城文章)さん。そんなチャンス大城さんが自らの半生を赤裸々に語り下ろした『僕の心臓は右にある』から、明石家さんま師匠にカラオケではじめて会ったときのエピソードを、本文から抜粋、編集して紹介します。
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お酒をやめ、勝手にコンビニのトイレ掃除や、道の吸い殻拾いを始めてからしばらくたったとき、スピードワゴンの小沢君から電話がかかってきました。
「いま、六本木でカラオケやってるんだけど来ない?」
「えっ、行ってもええの?」
小沢君に教えてもらった住所に向かうと、そこはカラオケ店といっても、尼崎で友達と通っていたような店とはまったく違う、超高級店でした。
フロントに行くと黒服のお兄さんが、個室まで案内をしてくれました。個室のドアを開けると、中には10人ほどの男女がいてすでに盛り上がっています。
「あっ、××さんもおる。◯◯さんもおる。売れてる人ばっかりやー」
部屋の一番奥の隅っこの席に、帽子を目深に被った人が壁に背をもたせかけて座っていました。
「誰やろ?」
目を凝らして見ると、
「あーーーーーーーっ、あーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
僕は思わず、その人を指さしながら絶叫してしまいました。
「自分、初対面の人間のこと指さして、なんやねん」
声の主は、紛れもなく明石家さんま師匠でした。
「チャンス大城と申します。よろしくお願いします」
「仁義なき戦いって、なんやねん」
その日、僕はたまたま仁義なき戦いのTシャツを着ていたのでした。ありがたや、さんま師匠は爆笑してくれました。