初参加の僕に、その日のメンバーが自己紹介をしてくれることになりました。
タレントの卵だという若い女性が、最初に挨拶をしてくれました。
「アサミと申します」
「チャンス大城です。珍しいお名前ですね。マンガの『あさりちゃん』と同じ名前なんや」
「アサリじゃないよ、アサミちゃんだよ。何言ってんだよ」
メンバーのひとりに、すかさずツッコミを入れられてしまいました。個室の中に微妙な空気が流れました。するとすかさず、さんま師匠がこう言ったのです。
「ほな、隣はシジミちゃんでな」
このひと言で、変な空気を一瞬で消してしまったのです。
僕は師匠の反射神経の鋭さと人間的な優しさに、ただただ圧倒されてしまいました。
「誰か、牛丼食べへんか」
「食べます」
「ほな、俺とチャンスと二人前や」
黒服のお兄さんが、牛丼をふたつ持ってきました。
「俺、お新香食われへんから、おまえ食うとけ」
「おかんに、さんま師匠からお新香もらったって自慢しときます」
さんま師匠は、ちょっとだけ笑ってくれました。