「すべてが規格外」という熊本城。地震の被害から立ち直りつつある(写真 栗原さん提供)
「すべてが規格外」という熊本城。地震の被害から立ち直りつつある(写真 栗原さん提供)

「非常に奥が深く、調べていくうちにどんどん興味がわいてきて、『沼』にはまっていくんです」

 栗原さんが城のなかで特に好きなのは「堀」。多くの人は、江戸城(現・皇居)などにある水を張った堀を思い浮かべるかもしれないが、山城では水を張っていない堀(空堀)が主流だ。これもいろいろな形があり、城を築いた大名豪族によって、特徴や違いがある。

「ちょっとしたくぼみを見て、ここが堀だったのではないかと想像をめぐらせるのも楽しいです」

(2)城はいろいろな学問に通じる!

 たとえば天守やそのほかの建物を見ると建築の勉強になるし、堀や土塁のつくり方を見ると土木の勉強にもなる、と栗原さんは言う。

「もちろん歴史にも強くなるし、古文書にも触れることができる。お城を起点にして、いろいろな学問分野に興味の幅を広げることができるんです」

 城探索を通じて、足腰も鍛えられるのだ。

(3)城は想像力を鍛えられる!

 前述の「堀」もそうだが、城に足を運んだときはぜひ「土塁」も探してほしいと栗原さんは語る。

「土塁は土を堤防のように盛って敵の侵入を防ぐものですが、これもいろいろな種類がある。どんな城にも土塁があるのですが、年月を経て小さくなっているものもあります。地面の凹凸を観察しながら、ぜひ想像力を働かせて土塁を見つけてほしいです」

 このくぼみは堀だったのではないか、ここはもしかして土塁の跡――。現地に足を運び、かつての姿を想像しながら歩くことで、城の楽しみ方は何倍にも広がる。

 栗原さんオススメの城も聞いてみた。初心者向けには、やはり姫路城だという。

「ぜひ人生で一度は訪れてほしい。天守以外にも櫓や門などが江戸時代から残っていて、当時の城を知るには一番いい城です」

 城に少し興味が出てきたら、足を運んでほしいのが「本城」。「大きな空堀があり、門も櫓もとにかく規格外」という。

『最強の城へタイムワープ』にも登場する山中城。障子堀が見える(写真 栗原さん提供)
『最強の城へタイムワープ』にも登場する山中城。障子堀が見える(写真 栗原さん提供)

 さらに興味が増したら、「山中城」(静岡県三島市)もオススメだ。戦国時代、関東地方を領有した北条氏が豊臣秀吉の侵攻を食い止めるためにつくった山城である。堀の中に障子の桟(さん)のような形をした盛り土をして、堀に落ちた兵士の動きを制限した「障子堀」など、多様な堀が楽しめる。

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守りには不利な竪堀の不思議