8月6日に開幕した夏の甲子園。今回は過去の大会で本当にあった思わずビックリの珍事3題を紹介する。
【写真】ほとんど印象が変わってない? 高校時代の楽天・石井一久監督
死球で出塁する権利を得た打者が自ら辞退する珍事が起きたのが、2019年の2回戦、花咲徳栄vs明石商だ。
2対3とリードされた花咲徳栄は7回1死、9番・菅原謙伸が打席に入った。
捕手の菅原は「投手が打たれたのは、自分にも責任がある」と反省し、「とにかく塁に出ることだけ」を考えていた。
そんな気持ちが天に通じたかのように、1ボールから中森俊介(現ロッテ)の2球目、内角高めスライダーが左肩付近に当たる。死球で1死一塁のチャンスである。
ところが、一塁へ行くよう指示する球審に対し、菅原は「少し前屈みで避けてしまった。ストライクゾーンに体が入っていたと思う。あれは自分が悪い」と正直に自己申告し、相手バッテリーやベンチにも謝罪の会釈をした。
黙っていれば死球で出塁できたのに、何とももったいない話だが、直後、まるで野球の神様が演出したかのような幸運が舞い降りてきた。
打席で構え直した菅原が次の140キロ直球を一振すると、なんと、左越えに起死回生の同点ソロ。しかも、これが記念すべき公式戦初アーチだった。まさに「正直の頭に神宿る」を地でいったような最高の結果に、菅原も「人生で一番いい当たりだった。神様が打たせてくれたのかもしれません」と大感激だった。
その後、試合は3対4と再びリードされ、9回2死二塁、菅原は右飛に倒れて最後の打者になったが、「すべての力を出し切ったので悔いはない」と晴れやかな表情で甲子園をあとにした。
次も公式戦初アーチにまつわる珍エピソードである。
夏の大会通算1000号は、02年に遊学館の行田篤史が記録したが、甲子園以外の球場で33本塁打が記録されていたことから、夏の甲子園通算1000号は、翌03年に持ち越しとなった。
そして、待望のメモリアルアーチは開会式直後の第1試合、桐生第一vs神港学園で飛び出した。