昨年、筒香がドジャースやパイレーツに移籍できたのは、最初に所属していたタンパベイ・レイズが2年1200万ドル(約16億円)の年俸を全て負担したから。あとの2球団は当時の最低保証年俸57万500ドル(約7700万円)のうちシーズンの残り日数で割った分の支払いだけで済んでいた。つまり、去年は格安かつ試す価値もまだあったので、引き取り手も見つかった。
しかし、今回はそうならなかった。パイレーツは資金力がなく、もし移籍先が見つかっても球団に年俸の残り分の負担を求めただろう。『MLBトレード・ルーマーズ』はその問題を指摘し、獲得する球団はいない、と予想していた。
そうでなくても、筒香はこの3年の通算成績は、18本塁打、打率.191、長打率.339で、MLBで通用しないのが明らかになっている。それにケガのリスクも抱えていることも知られてしまった。
しかも、今MLBはトレード期限を終えたばかり。どこも戦力整理はもう済んでいる状態だ。これが秋山翔吾(広島カープ)がシンシナティ・レッズを退団した時(4月5日)のようにシーズンの早い段階であれば、筒香も他球団とマイナー契約を結ぶチャンスがあったかもしれなかったが、今だと望みは薄いだろう。ただ、こうなってしまったのも、筒香がこれまで与えられたチャンスを生かせなかったからだ。
筒香に残された選択肢は現時点ではほとんど残っていない。引き続きアメリカでマイナー契約ができる球団を探すか、あるいは日本球界に復帰か。(なお日本プロ野球の補強期限は7月31日までのため、今季復帰は不可)筒香は8日、アメリカに残って自主トレを続けながらMLB(マイナー)からのオファーを待つと表明しているようだ。しかし、地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』によれば、筒香がアメリカに残ることはもうないと予想している。同紙は、5日の記事で筒香の今後を次のように予想している。
「ピッツバーグでのヨシ・ツツゴウ時代はどうやら終焉を迎えたようだ。筒香の退団はかなり予想できた。彼は海外(日本)でプレーすることを望んでいるのかもしれない。パイレーツ傘下インディアナポリスには、すでに一塁手で使いたい選手がいる」
同紙によれば、パイレーツ傘下はすでに将来に向けてマイナー選手の育成に舵を切っているため、筒香には居場所がないことを指摘。また、野球専門メディア『コール・トゥー・ザ・ペン』も8月8日の記事で、「ここまでは、日本プロ野球に復帰して現役を続行するだろう。故郷に帰る可能性は高いようだ」と伝えている。現地メディアの見解では、アメリカに残れる可能性がほぼなくなっている筒香。はたして今後どんな決断をするのか。その動向が注目される。(澤良憲/YOSHINORI SAWA)