――被疑者Aに係わる恐喝事件については、初め印鑑の販売から始まり、次に壺の販売、その間における客からの経済状態及び財産関係の聞き出し、更には悪霊祓い名下に、現金の喝取と一連の行為は、これまで押収、領置した「クレーム対策委員会の資料、販売契約時の心構を記入した姿料、担当者の心構えと姿勢についての資料」などのなかから、会社ぐるみの犯行であることは、10分認められるが、このAが所属するグリーンヘルスという会社は、世界基督教統一神霊協会(統一教会)および主義思想を同じくする、異名同体の国際勝共連合の思想教育を受けた者の集りであることは本年11月15日に被疑者宅を捜索した際、同所で事情聴取したH(31)、M(37)、N(31)らの申し立てから、明らかであり、また当署巡査部長Kが領置した国際勝共連合発『世界思想』11月号(A様とうらに記入あり)からもAが勝共連合と同じ思想の統一教会の信者であることは明白である――
《「答えたくありません」》
取調検事とAとの間でかわされた、背後関係をめぐる問答で、Aはすべての回答を拒否している。検察官調書から抜粋しよう(表記は調書の記載通り)。
問 あなたは宗教を勉強していたということも言ってますが、あなた自身は宗教に入っているのですか。
答 個人的なことですので答えなくてもよいと思います。
問 11月30日7時20分から私の取調べを受けたときに、「世界キリスト教統一神霊協会」に入っていると言っていますが、その協会に入っているのではありませんか。
答 答えたくありません。
(中略)
問 Mという人を知っていますか?
答 知りません。
問 あなたのところを捜索したときに、いた人ですが、それでも知りませんか。
答 知りません。
問 Mから聞いた結果の捜査報告書によればMは、宗教団体統一原理宣教師であるが、あなたとは、信仰が同じという糸で結ばれていると話しているということになっているがどうですか。
答 答えたくありません。
問 今回の事件は、神がかり的で宗教的色彩を帯びているので、あなたがどういう宗教を信じているかどうか、関係してくるわけですが、自分の信じている宗教を明らかにして今回の事件との関係をはっきりさせるべきではありませんか。