その歴史を覆しての「ベスト8以上」を目指す日本代表だが、同じような立場のサッカー中堅国は当然、多くある。北中米に属するメキシコは第1回大会から出場するW杯の常連であるが、ベスト8に進出したのは、ともに開催国となった1970年と1986年の2回のみ。1994年以降、GKカンポスやDFマルケス、MFグアルダード、FWチチャリートなどの世界的な名選手が活躍して7大会連続でグループリーグ突破を果たしたが、7大会連続でベスト16の「壁」を越えられずに決勝トーナメントの初戦で敗退している。

 また、1996年のアトランタ五輪で金メダルを獲得した“スーパーイーグルス”ナイジェリアも、W杯では本大会出場6回で決勝トーナメントに3回進出したが、いずれもベスト16で敗退した。その他のアフリカ勢も1990年にカメルーン、2002年にセネガル、2010年にガーナがベスト8に進出したが、ベスト4進出はできず。“王様”ペレを始め、1990年代に予感と期待があった「アフリカ勢のW杯優勝」は依然として叶わず、グループリーグで全滅した前回のロシア大会を見ると、むしろ遠ざかっていると言える。

 欧州の強豪国においてもベスト8の壁を突き破ることは決して簡単なことではなく、過去10大会において、スペインがベスト4以上に進出したのは優勝した2010年のみ。ポルトガルも過去10大会で4位となった2006年のみで、オランダ3回、ベルギー2回と決して多くない。そもそもベスト8進出のためには理論上、FIFAランクの上位8カ国(2022年8月発表で、ブラジル、ベルギー、アルゼンチン、フランス、イングランド、スペイン、イタリア、オランダ※イタリアは今回欧州予選で敗退)などの国に割って入らなければならない。果たして今の日本代表、森保ジャパンには、それが可能なのか。もちろん“ゼロ”ではないが、客観的に選手の質、量、所属クラブ、サッカーの文化、国力を鑑みると、現状ではその確率は非常に低いと言わざるを得ない。

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