また、歯科では、「口腔外科」と言って、口腔がんや舌痛症など、一般の歯科では診療が難しい病気を診る科があります。主に大学病院や総合病院に設置されており、医科と連携している科なので、ここに紹介することも多いです。相談のケースにあるような更年期の女性のドライマウスについても、問診の結果によっては、このような形で連携をしています。

 ただ、実際にはドライマウスの患者さんのほとんどは、歯科での治療でよくなっていきます。なぜかと言えば、症状のきっかけとして心配事やストレスを抱えているケースが多いからでしょう。

 前述のように、ドライマウスの原因の一つに、ストレスや緊張があります。

 ストレスや緊張が続くと、自律神経のうちの交感神経の働きが高まり、唾液が出にくくなってしまう。大勢の前で話したり、歌ったりするときには誰でも口の中が乾きますが、これと同じメカニズムです。

 なぜストレスや緊張が原因だとわかるのかと言えば、歯がすり減っている兆候が見られるからです。眠っているときの歯ぎしりや日中に食いしばりの習慣があると、このようになります。

 こうした習慣はストレスや緊張と関連があるとされています。そして患者さんに話を聞くと、「仕事が忙しくて、疲れている」「熟睡できない、寝つきが悪い」などの悩みを吐露する人が多いのです。

 また、更年期の女性の場合、「夫との関係にストレスを感じる」「子どもの受験が大変で」などとおっしゃる人も多いです。こうしたストレス、緊張に更年期特有のホルモンバランスの変動が加わってドライマウスになっているケースが多いと推察しています。

 実は私の専門である歯周病は、女性のホルモンの変動期である思春期や妊娠期、更年期に悪化しやすいことがわかっています。この時期には唾液が減りやすいことも明らかで、ドライマウスの症状で来院される患者さんの口の中を見ると、進行した歯周病が見られることがよくあるのです。

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