イギリスと日本で2拠点生活をしながら時事YouTuberとして活動するたかまつななさんは「国を分断し、安倍さんを悼む国民の気持ちをぶち壊したのは岸田さんだ」と批判する。
現在滞在中のイギリスではエリザベス女王の国葬が執り行われ、連日、国民が十何時間も弔問の列に並んだ。日本との温度差から、岸田首相のリーダーシップに「20点」と厳しい点数を付けた。
問題点はどこにあったのか。岸田首相の対応が後手に回り、予算が当初の6倍に膨れ上がり、弔問外交の効果が見えないことなど挙げた上で、こう指摘する。
「安倍さんの業績には功罪あり、私自身も批判的な立場を取ることもあったが、銃撃事件は衝撃的でしばらくは何をしていても悲しい気持ちだった。今の10~20代の若い子たちにとって総理大臣と言えば安倍さんであり、それを失った寂しさや喪失感は大人よりも大きいと思います。それなのに岸田さんは『聞く力』と言いながら対話もなく閣議決定してしまい、国民を分断し、静かに死を悼む機会を奪った。それは安倍さんに対してもとても失礼な仕打ちだと思う。国葬を欠席しますと堂々と言う野党議員にも若者は厳しい目を向けているだろうし、政治不信を抱かせ、国益を損なう最悪の対応です」
たかまつさんはウクライナ侵攻の開始から半年となるタイミングで現地の様子を自ら取材。日本国内の報道が国葬問題に偏っていたことも「ロシア、北朝鮮、中国に囲まれた日本が今後の安全保障について考える機会を失い、とても残念」と感じたという。
「暴力に屈しないという国葬の趣旨は、ロシアの力による現状変更を認めないというメッセージを訴える絶好の機会だ。岸田さんには国葬を通じて、どのような国益があるのか説明をしてほしかった。例えば、安倍さんが提唱した自由で開かれたインド太平洋構想の意思を引き継ぐため、インド、オーストラリアなどとの関係強化を世界中に訴えるなどできると思う」(たかまつさん)
期せずして、イギリスではエリザベス女王の国葬のために各国のVIPが集った。安倍元首相の国葬による弔問外交の効果はさらに問われることになりそうだ。(AERA dot.編集部・金城珠代)