「20点」と厳しい評価を受けた岸田首相
「20点」と厳しい評価を受けた岸田首相
この記事の写真をすべて見る

 27日に日本武道館(東京都千代田区)で執り行われる予定の安倍晋三元首相の国葬まであと1週間を切った。朝日新聞が9月上旬に行った世論調査では、64%が国葬に関する岸田文雄首相の説明に「納得できない」と回答するなど、理解が得られているとは言えない状況がいまだに続いている。何が足りないのか。専門家らに採点してもらった。

【図表】岸田文雄内閣の支持率はこちら

 *  *  *

 これまでの岸田首相の説明について「100点満点中45点」と厳しい評価を下すのは、法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)だ。

  7月中旬に国葬を実施すると表明した岸田首相は、その理由について(1)憲政史上最長の8年8カ月にわたる在任期間、(2)経済再生や外交で業績を残した、(3)弔意外交の機会になること、(4)暴力には屈しないという姿勢を示すという4点を繰り返してきた。さらに踏み込んだ説明が期待された8月上旬の閉会中審査でも、4つの理由を改めて説明。直前に公表された約16億6千万円という費用は「適正」と訴え、野党からは批判が相次いでいた。白鳥教授は「自分の中ではうまく回答したつもりなのに及第点に届かず単位が取れないというよくありがちなパターン」と指摘する。

 「特に、なぜ国葬なのかという説明が非常に薄弱で内向き。自分の政党を持ち上げ、安倍元首相を支持する保守派の人だけに向けたメッセージで、世界的な問題提起ができていない。各国のVIPが来ないのは当然だ」(白鳥教授)

  4つの理由のうちの一つ、海外から弔問者が訪れるため外交上のメリットがあるという点については、G7の現職トップとしてはカナダのトルドー首相が唯一の参加予定者となり(アメリカはハリス副大統領やオバマ元大統領が参加予定)、そのほかインドのモディ首相らが来日を表明しているが、当初想定していたより規模が縮小している感が否めない。

 白鳥教授は、「また費用は積算根拠があやふやなまま、適正だとの説明を繰り返し、旧統一教会との関係についても安倍元首相については調査をしないと言う。憲政史上最長の在任期間という理由にしても、安倍元首相以前に最長だった佐藤栄作元首相はノーベル平和賞を受賞していたにも関わらず国葬ではなかったので説明がつかない。経済や外交で多大な貢献というのも、人によって評価が割れる」と、辛口だ。だが、意外な突破口があるとも指摘する。

次のページ
これができれば及第点…