阪神、広島、中日のファンは、関東開催のロード試合で気質が少し変化する。中部地方から西にある球団で、関東に対してのライバル心があるのか、それとも足を運べない地元ファンを代表して応援している気持ちがあるからなのか。ホーム試合とは雰囲気が異なり、殺伐としたものすら感じさせる時もある。

「関東の球場、特に比較的チケットが入手しやすかった頃の神宮でのヤジは辛辣だった。関東在住のそれぞれのファンが関西、名古屋、広島の方言でヤジっているのを見かけた。多少のヤンチャ行為も許されると思っている節もある。試合よりも、現実逃避やストレス解消が目的のようで、お酒が進むとヒートアップするファンも一部いた」(阪神担当記者)

 しかし、最近では甲子園のリニューアルやマツダスタジアムが開場するなど観戦の環境自体が大きく変化。応援するチームの本拠地球場では客層も様変わりしたことで状況も昔とは違ってきている。

「阪神と広島はヤジがキツい印象があるが、本拠地のマナーは格段に上がっている。超人気球団のためチケット入手が困難で、価格も高騰。仕事帰りにふらっと寄れる環境ではなくなった。球場は観光地化が進み、女性やカップル、家族連れが激増、雰囲気がエンターテインメント施設に似て来た」(阪神担当記者)

 度が過ぎたものは看過できないが、球場それぞれに“性格”もでるヤジは野球観戦の一部であり、チームへの愛があるからこそ出るものだ。まだ、球場で声出しの応援などは禁止されているが、解禁された時にはヤジも戻ってくるのか。いずれにせよ、一日でも早く通常通りに野球観戦をできる日が戻ってきて欲しいものだ。

[AERA最新号はこちら]