ヤクルトの高津臣吾監督が7度宙に舞った。昨年はヤクルトが73勝(勝率.584)、阪神が77勝(勝率.579)と、勝利数で下回りながら、勝率でわずか5厘上回っての優勝だった。いわば「綱渡りの優勝」だったが、今季は、ほぼ独走に近い形での優勝だ。
7月2日に2リーグ制導入以降では史上最速の優勝マジック「53」を点灯させた。51勝24敗1分(貯金27、勝率.680)で、2位の巨人に13.5ゲーム差をつけた。その後、新型コロナの感染者を多数出したこともあり、7月は7勝13敗。8月は7連敗もあった。しかしながら、8月26日から4ゲーム差で迎えたDeNAとの天王山で3連勝して、雌雄は決した。
7月3日以降、優勝を決めた9月25日(2位DeNAに7ゲーム差)までの61試合は26勝33敗2分の成績で、後半戦の勝率(.441)はリーグ最下位。最下位の中日に10勝14敗1分と苦戦したが、セ・パ交流戦の優勝(14勝4敗)で稼いだ貯金がモノを言った。
チーム本塁打170本、チーム得点611(2日時点)はリーグ1位。村上の55本塁打は、中日のチーム本塁打62本に匹敵する。一方、チーム防御率は意外にもリーグ5位の3.55。失点が多くても、「勝てる試合を確実にモノにした」ということだ。
昨年のチーム最多勝は奥川恭伸、小川泰弘の9勝。それに続くのは「七回の男」今野龍太の7勝だった。今季一層の飛躍が期待された奥川は故障で戦線離脱。しかし、投手陣はエース不在を感じさせない活躍ぶりだった。小川が8勝、サイスニードが9勝、高橋奎二が8勝、高梨裕稔が7勝、原樹理が7勝、石川雅規が6勝と、先発陣が昨年の2倍近い勝利を挙げた。中継ぎでは、田口麗斗が1勝18ホールド、木沢尚文が9勝8ホールド、清水昇が5勝27ホールド。抑えでは、マクガフが38セーブと、リリーフ陣の充実が昨年以上だった。
DeNAの三浦大輔監督、巨人の原辰徳監督、阪神の矢野燿大監督は、異口同音に「ヤクルトは投打のバランスが取れていた」と語った。2リーグ制以降「前年最下位からの優勝」は昨年のヤクルトとオリックスまで過去7例あるが、「2年連続最下位から2年連続リーグ優勝」は今回のヤクルトが史上初だ。