「発酵調味料を自分で作る丁寧な暮らし」。なんだかとてもハードルが高そう。でも、実は「混ぜるだけでできる」「時短になる」「おいしいうえにキレイになれる」としたらどうだろう。 第一子の妊娠をきっかけに発酵食品と出合い、その魅力に目覚めたと話すのは、清水紫織さん。7年前に発酵料理教室「神楽坂発酵美人堂」を開いて店主となり、今なお、発酵食品のおいしさや便利さ、面白さに感心する日々だ。
その清水さんが言う。「実は、丁寧な暮らしは簡単だったんです」 もちろん、発酵には時間がかかる。菌などの微生物たちが作る発酵調味料は、できあがるまでに早いもので6時間。でも、その時間の中で旨味や甘味、食欲をそそる香りや豊富な栄養素が生まれ、いざ料理に使うと、簡単で時間もかからないのに、手間をかけた味になるという。
真夏の暑さからやっと解放されて、食欲の秋!清水さんに、しょうゆのように使えて、味はよりまろやかな万能調味料「醤(ひしお)」の作り方と、「醤」を使って作るワインと相性のいい3品を教わった。
◆ 醤
「醤」の材料は、ごくシンプルだ。
- ひしお麹(ここでは神楽坂発酵美人堂のまろやかひしおの素を使用。他の市販品でも可) 300グラム
- 昆布(5センチ角) 1枚
- しょうゆ 300ミリリットル
- 水 150ミリリットル
これを、清潔な容器に入れて、清潔なスプーンでよく混ぜる。あとは蓋をして常温に10~14日おき、1日1回、清潔なスプーンなどで下からよくかき混ぜるだけ。麹がやわらかくなり、甘い香りがしてきたらできあがりだ。清水さんが言うように「時間」はかかるが、手間はほとんどかからない。
「醤は気温が高くなるとアルコール発酵しやすいので、できあがったら必ず冷蔵庫で保存し、使用するたびに全体をよくかき混ぜるようにしてください」 と清水さん。納豆を混ぜたはしやスプーンでうっかり混ぜると、納豆菌が入り込み、粘りのある「納豆醤」になってしまうので、要注意。「食べても問題ありませんが、納豆菌は非常に強い菌なので麹菌に勝ってしまうんです」